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「すぎなみ151」発足までの経緯

1.【「すぎなみ151」発足以前の状況】
 1982年頃、杉並家族会と有志等により精神障害者のための「共同作業」の場を設ける活動が細々と開始されました。
 時代背景としては、都ではその前年の1981年から作業所補助金制度が始まっており、またこの年は「国際障害者年」でもありました。
 その後、都内各地では地域家族会を中心に作業所作りの機運が高まっていき、こうした時代背景も、杉並において作業所を作る契機になっていたようです。
 1982年8月「あおば作業所」の母体となる活動が発足しました。
 その活動を足がかりとして、1984年に杉並区からの助成金を受けるに至り、その活動体に「杉並共同作業の会」と暫定的に命名されました。
 「杉並共同作業の会」は、翌年1985年東京都の補助金の交付を受けるに至り、「あおば作業所」という正式名称となり、杉並区で始めて、東京都助成金交付を受ける精神障害者のための共同作業所として発足しました。
 杉並区における作業所第一号の設立にあたっては、家族会だけではなく、精神障害者を支援する杉並区ならびに近隣の世田谷区にある様々な機関に所属していた医師、職員なども関与していました。
(参考文献:「人のなかに 街のなかに」2002年9月13日 あおば作業所設立20周年記念事業実行委員会発行)

2.【「杉並友の会」から「すぎなみ151」の発足まで】
 1974に「杉並友の会」が結成されました。
 「杉並友の会」は、家族会等の支援のもと、精神障害の当事者が集い、互助グループ、仲間作りを目指して活動してきた当事者主体の活動だったようです。
 活動当初、月1回日曜日に集まって、話し合いやレクリエーションを行っていたようです。
 活動場所は決まっておらず、喫茶店や、メンバーの家など、場所を変えながら活動していたそうです。
 1986年頃から、参加者が20名を超えるようになり、「夜の懇談会」や「通信作りの会」や「運営委員会」をも開くに至ったようです。
 「杉並友の会」のメンバーから、下記のような要望が出されるようになり、それを実現するため「憩いの家設立基金」を設けることとなったそうです。

・「杉並友の会」の月1回の例会では物足りなくなってきた。
・月1回のレクリエーションでは充分な交流ができない。
・友の会の世話人会ができ、運営委員会ができ、月に何度も集まるようになってきた。
・活動のための会場探しに苦労するようになってきた。
・友の会の事務所がほしいという声が自然と沸きあがってきた。
・たまり場が欲しい→単なるたまり場でいいのだろうか?
・規則にしばられないでホッとできる場が欲しい。
・安心して病を語れる場が欲しい。
・単純作業ばかりやるのはやだ。イメージが暗い。
・作業所というと堅苦しくなってしまう。
・家でブラブラしているのはいやだ。かといって自分でホイホイ出かけて人と会う意欲もない。そんな人も気軽に参加できるような場で、何かしたければ何か好きなことができる場があったらいい。
・作業ばかりではなく創作活動もできるような場があったらいい。
・対行政への表向きの作業所・工房という意味ではなく、何かやれるという生き方として積極的な場として工房を考えたい。

 こうした要望から、「すぎなみ151」の前身である「(仮称)杉並友の会憩いの家・工房」の設立に向けて、当事者を中心に作業所の職員、保健師、福祉事務所の職員、中部センター、医師等の関係者が支援して、「すぎなみ151」が形作られたそうです。

 「杉並友の会」は「すぎなみ151」ができてからもしばらく続いていたようです。
 しかし、「すぎなみ151」が堤ビルから安藤ビルに移転した1996年以降、「杉並友の会」の活動は次第に衰退していったことが当時の関係者の証言により伝えられています。
 「杉並友の会」の活動が衰退していった要因はいくつかあるのだろうと推測されますが、その要因の一つは、その後杉並区に作業所が順次開設されていき、当事者の居場所が「杉並友の会」から作業所に移っていったことにあるのだろうと当時の関係者は証言しています。
 「杉並友の会」の居場所探しという元々の目的は、「すぎなみ151」の開設移行、作業所が順次作られていく中で達成され、作業所の他に「杉並友の会」に集まる必要性が薄れていったと解釈することができます。
 このようにして、歴史の中で大きな役割を担った「杉並友の会」は自然消滅した形となり、現在はその実体がなくなってしまいました。

年    譜
時 期 出 来 事
1987年4月 「(仮称)杉並友の会憩いの家・工房」設立準備会
1987年7月 「(仮称)杉並友の会憩いの家・工房」設立準備会事務局結成
1987年8月 「(仮称)杉並友の会憩いの家・工房」設立趣旨書作成
1987年8月 「(仮称)杉並友の会憩いの家・工房」活動開始
毎週火曜日、木曜日の午後、障害者福祉会館にて
1987年9月 「(仮称)杉並友の会憩いの家・工房を支える会」設立
1987年12月10日 東京都杉並区永福3-49-13 堤ビル2階(69.3u(約21坪))賃貸借契約
1988年1月10日 「すぎなみ151」設立
1988年4月1日 「すぎなみ151」開所
1995年8月30日 東京都杉並区永福4-19-4 安藤ビル2-C(95u(約29坪))賃貸借契約
1996年1月8日 東京都杉並区永福4-19-4 安藤ビル2-C(95u(約29坪))賃貸借開始
堤ビルより移転(1月から2月の間に転居)
2007年4月1日 「すぎなみ151」の活動の財源が、東京都の補助金制度から杉並区の補助金制度に変更
2009年9月1日 「すぎなみ151」の運営主体が「すぎなみ151支援会」から「一般社団法人クレオソーレ」になる
2012年4月1日 2007年度から適用されてきた「杉並区精神障害者共同作業所通所訓練事業」から、「杉並区地域活動支援センター事業」に変更された。
区分Cの適用となり、初年度は、施設借上げ補助金を除く補助金額として年1,200万円と、激変緩和措置分として年500万円の加算が付き、年額計1,700万円の補助水準となった。